彼の弟子であり、親友であり、弟のような存在でもあったあの人がダークサイドに堕ち、帝国軍がこの銀河を支配していた。それでも私は、今こうして彼と今までにない平穏を感じてさえいられる。何年か前はジェダイの騎士として、銀河中で起こる様々な問題のために駆り出されていた。もうそれすら想い出となっている。帝国軍が支配しているとはいえ、こうして静かに暮していれば何の支障もなかった。
 二人の間にあるものが愛なのかそれとも惰性なのかは、私にはわからない。少なくとも私は彼を慕っていた。だから、こうして静かに砂と岩ばかりの星で、少しずつ老いていく彼の為に衣食住を仕えるのは、幸せだった。闇に堕ちたあの人のことを私より知っていた彼は、私なんかと比べ物にならないくらいの想いを過去に感じているだろう。マスター・クワイ=ガンと話すのを、時折見かける。私はその悲しい横顔をただ遠くの部屋から見ているだけで、その肩に触れることもできなかった。彼に優しくしたいのは、抱き締めたいのは、私のエゴだ。こんなことで不甲斐なさを感じて落ち込む私は、あの頃に比べたらどれだけ弱くなったのだろう。私はあなたがいれば、それだけでいいと思うべきなのに。テーブルに置いた料理にほほ笑むあなたのその笑顔が、私にとって何よりも大切なものなのに。

あたしのただひとつの、
彼女が眠る椅子