仕事の関係で、群馬を離れることになった私は、ナイトキッズの党首であり意中の相手でもある中里さんにそのことを伝えた。相手の反応と気分次第では想いを伝える予定だった。でも中里さんは少しも残念そうな顔はせず、珍しく笑顔だった。 「そっちでホームコース見つけろよ」 「暫くは仕事で手一杯ですよ」 「走るのも仕事だ。ちゃんとやってんのか確かめに遠征しに行くぞ」 「どこ走っても中里さんには敵いません」 そう、私のこの気持ちも叶わない。別にいいのだけど。そうやってずっとこの妙義を走ってきたんだ。私の青春はここにしか存在し得ない。 想いを告げるのは、やめにした。中里さんの中で、私はナイトキッズの一員でしかないんだ。 きっとこの先、一生
|